マイノリティ独女は今日も生きるのがつらい

普通をあきらめた限界女性の創作

朗読台本 詩 「プラネタリウム」

プラネタリウム

天井(てんじょう)に映し出される星空が
私を癒(いや)す午後8時

雨の日の憂鬱(ゆううつ)も
伝えられずに散(ち)った想いも
こうして見上げれば
みんな、遠くに

静かに流れるアナウンスが
知らなかった星の名を教えてくれて
新しい私になれる気がした

偽物(にせもの)の夜空でかまわない
上を向いていないと
涙が溢(あふ)れそうだから

あなたを忘れる術(すべ)が欲しい
せめて、今夜だけでも

朗読台本 詩 「線香花火」

「線香花火」

パチパチと静かに
火花を散(ち)らす線香花火
じっと見つめる、私とあなた

赤く膨(ふく)れ上がる玉が
落ちてしまうその前に
あなたに想いを伝えたいのに

明かりに照らされる
あなたの優しい微笑(ほほえ)みに
心奪(こころうば)われて何も言えなくなる

どうか気づいて
黄金(こがね)に弾(はじ)ける火花のような
私のこの、熱い想いに

朗読台本 詩 「彗星」

「彗星(すいせい)」

あなたはまるで
闇夜(やみよ)に流れる箒星(ほうきぼし)

膝(ひざ)を抱えて
小さくなったわたしの前に
突然流れ落ちて
眩(まぶ)しいくらいに光を放(はな)って
私の心を攫(さら)っていって

そうして
瞬(まばた)きのうちに
深い藍(あい)に吸い込まれて
消えてしまう

行かないでと泣いて縋(すが)れば
あなたは変わらず
隣(となり)で笑っていてくれたの?

今夜も
夜空に星は流れる
泣きたいほどに
儚(はかな)く、美しく

 

朗読台本 詩 「春の雨」

「春の雨」

暗い雨の夜道(よみち)に
ぼんやり浮かび上がる
花びらの絨毯(じゅうたん)
打ち付ける雨に
薄紅(うすべに)が滲(にじ)んで溶(と)ける

乱(みだ)れ咲(ざ)いた桜も
燃えるような恋も
春の嵐に儚(はかな)く散(ち)った

傷ついた分だけ優しくなれるなら
こんな私でもいつか
歩き疲れた誰かの心を
癒(いや)せる日がくるのだろうか

この痛みも無駄(むだ)じゃないなら
前を向いて歩いていこう

雨は静かに降(ふ)り続く
溢(あふ)れる涙も悲しみも
全て流してしまうまで
いつまでも

朗読台本 詩 「夜に咲く」

「夜に咲く」

夜空の色が褪(あ)せるほど
眩(まぶ)しく輝くあの月と
あなただけが
私の熱情(ねつじょう)を知っている

絡(から)めあった指の先から
全身に広がる甘い熱

白い皮膚(ひふ)の下で
紅(あか)く沸(わ)き立つ血潮(ちしお)

星の数ほど
何度「好き」を言葉にしても
伝えきれない

どうか
怖がらないで受け止めて
次から次に溢(あふ)れる想いを
闇夜(やみよ)に乱(みだ)れ咲(ざ)く花を

 

朗読台本 詩 「銀河鉄道」

銀河鉄道

ひとつの曇(くも)りもない
澄(す)んだ空気を纏(まと)った
サファイアの夜空

神さまが手にした宝石箱から
こぼれ落ちた星屑達(ほしくずたち)は
いっそうキラキラ輝いて

こんな夜は
銀河鉄道に乗り込んで
あなたと2人
どこまでも旅しよう

見たことのない景色(けしき)の中で
愛の言葉を交(か)わしたら
2人の恋も七色(なないろ)に
夜空を明るく彩(いろど)るでしょう

朗読台本 詩 「孤高の月」

「孤高(ここう)の月」

きっとずっと
今より楽(らく)になれると
わかってはいるけれど

この手を離すことが
何より怖くて
躊躇(とまど)って
気付かないフリをして
繰り返して

今夜も孤高(ここう)に
光を放(はな)つ白い月
眩(まぶ)しくて、きゅっと目を瞑(つむ)る

どうか、わたしにも
1人で立てる強さを
あと1歩踏(ふ)み出す勇気を