マイノリティ独女は今日も生きるのがつらい

普通をあきらめた限界女性の創作

朗読台本 詩「花火の夜」

「花火の夜」

濃紺(のうこん)の空いっぱいに
咲き乱れる大輪(たいりん)の花
胸の鼓動(こどう)を加速させる
身体中(からだじゅう)に響(ひび)く音

垂(しだ)れの余韻(よいん)に
切なさが色を落とす

触(ふ)れるか
触(ふ)れないか
もどかしいこの距離を
縮(ちぢ)める勇気が持てなくて

あなたの横顔をそっと盗み見て
呼吸も忘れるほどに
胸の奥をきゅんと鳴らして

溶けかけたかき氷で
火照(ほて)りを冷ます
湿(しめ)った風すら心地よい
夏色(なついろ)の夜